大学職員の仕事紹介 普段何やってるの? その3

今回は、研究支援系の中でも比重の大きいメインの仕事「科研費」について紹介する。

これから大学職員になろう、という人にとっては、科研費って何?ってことになるかと思う。大学の博士課程くらいまでいっていれば、なんとなく知っているかもしれない。私は、恥ずかしながら大学職員になるまで知らなかった。というか大学職員の人でも、関係部署にいなければほとんど知らないという人もいる。科研費の制度は、日本の科学技術政策を語る上で絶対に避けて通れないものなので、大学職員で全く知らないというのはやばいかも。

科研費の公募から審査から採択までは、日本学術振興会というところが行っている。

そこのホームページに科研費制度の説明が載っているので、見ていただきたい。
https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/

科研費は、簡単に言うと、理系・文系問わず、全ての研究分野に対して、国が研究資金を出してくれる制度である。もちろん、応募して採択された研究者(大学の先生など)に研究費が配分される。


で、大学職員が科研費関係の業務で何をやっているか。

科研費は、大学に配分されてはい終わり、ではなく、報告書を提出したり、研究費を来年度に持ち越したりと様々な手続きが年間を通してある。それらの手続きを機関として行う必要があり、細々としたことを私がやっている。

年間の流れはこんな感じ。申請が始まる9月から。

  • 9月 公募が発表されるので、大学内の先生に周知。申請書の締め切りや提出方法などをお知らせする。制度の変更点や申請書の書き方などを説明する説明会を開催する。これはやらない大学もある。
  • 11月 申請書を取りまとめて日本学術振興会に提出する。ちょっと前から、提出が専用のシステム上で行えるようになった。昔は全部印刷して郵送してたらしい…恐ろしい時代…
  • 1月 繰越の手続きが始まる。申請書の作成が面倒くさい。もっと研究費を使いやすくすればいいのにと思う。
  • 2月〜3月 報告書作成の準備。これも全てシステム上で作成する。毎年のように遅れる先生がいて困る。
  • 4月 11月に申請した分の採択が発表される。採択されると、科研費交付の手続きやら準備やらで忙しい。採択数をまとめて、大学内の会議で発表するのもなかなか大変な仕事。
  • 5月〜夏 報告書の取りまとめて&提出。その他、細々とした手続きの処理。来年度の申請に向けた説明会などの準備。

こんな感じで、一年を通して何かしらやっている。

科研費の仕事は、お金の出入りが頻繁にあるので、会計の担当部署との連携が欠かせない。うちの大学は、お金の受け入れの部分(出納)は別の部署でやっているが、同じ部署でやるところもあるらしい。

科研費は、大学の先生の一番ベーシックな外部資金で、基礎研究にとって一番重要であるといえる。大学をあげて採択数を伸ばす取り組みをしているところもある。

うちも採択数や応募数を増やすべく取り組みを行っている。どうすれば、大学一体となって、科研費のやうな外部資金獲得に取り組めるかがとても大きな課題である。